仲野マリの歌舞伎ビギナーズガイド

一度は観てみたい、でも敷居が高くてちょっと尻込み。 そんなあなたに歌舞伎の魅力をわかりやすくお伝えします。 古いからいい、ではなく現代に通じるものがあるからこそ 歌舞伎は400年を生き続けている。 今の私たち、とくに女性の視点を大切にお話をしていきます。

講座「女性の視点で読み直す歌舞伎」を
東京・東銀座のGINZA楽・学倶楽部で開いています。
歌舞伎座の隣りのビル。
窓から歌舞伎座のワクワクを感じながらのひとときをどうぞ!
これまでの講座内容については、http://www.gamzatti.com/archives/kabukilecture.html
GINZA楽・学倶楽部についてはhttp://ginza-rakugaku.com/をご覧ください。

2016年05月

今月の「あの場面、この場面」は、
五代目中村雀右衛門が襲名披露狂言として上演された
「祇園祭礼信仰記~金閣寺」です。

このお話は、戦国時代、足利十三代将軍義輝を暗殺した松永大膳久秀が、
小田春永(=織田信長)と敵対して金閣寺に立てこもっているところから始まります。
武将vs武将の息詰まる戦国絵巻、かと思いきや、
この舞台の真の主人公は金閣寺に幽閉されたもう一人の女性・雪姫です。
美しい雪姫は大膳に愛妾となるよう迫たれ桜の樹に縛りつけられてしまうのでした。
「金閣寺をバックに、縛られ身をよじる美女の上から桜の花びらが降りしきる」という場面は、
さながら一幅の絵のよう! 
雪姫は女方が演じる役の中でも格が高い「三姫」の一つとされる難役です。

詳しくはこちらをどうぞ。
http://www.eigeki.com/special/column/kabukisaika_n08

今年の歌舞伎界は、3月に五代目中村雀右衛門、秋に八代目中村芝翫と襲名披露が続きます。
歌舞伎一門で直系の息子は、生まれた瞬間から父の名を継ぐことを求められて育ちますが、
襲名の時期は自分で決められません。
とりわけ「大名跡」と言われる由緒ある名前の場合、
その名を名のるにふさわしいか厳しく問われます。

裃姿の役者がずらっと並び、順々に神妙な挨拶をしていく口上は襲名披露の公演のハイライト!
観客の私たちも歴史の1ページの一部になったようです。(文:仲野マリ)

詳しくはこちらをどうぞ。
http://www.eigeki.com/special/column/kabukisaika_n07

5/29(日)は、単発で「東海道四谷怪談」について講座を開きます。

5月の前進座(国立劇場)、6月のコクーン歌舞伎で久々に出る

「三角屋敷の場」の魅力を中心にお話しします。

「四谷怪談」には、お岩さんと伊右衛門のメインストーリーのほかに、

お袖さんをめぐるもう一つのせつない物語があるのです。

GINZA楽学倶楽部の「女性の視点で読み直す歌舞伎」としては、

初の日曜開催。

平日はお仕事で金曜の講座にいらっしゃれなかった方は、

ぜひお運びください。


http://ginza-rakugaku.com/kouza/a40.htm

5/13(金)「女性の視点で読み直す歌舞伎」の講座も無事に終わりました。
「信州川中島合戦~輝虎配膳」という、けっこうマイナーな作品ですが、近松門左衛門作。

諏訪大明神をめぐる勝頼と姫との恋、というと、

近松半二の「本朝二十四孝」のほうがピンとくるかもしれません。

三段目の「輝虎配膳」には、若い二人は出てこず、

長尾輝虎(=上杉謙信)、直江兼続、山本勘介(=勘助)、そして

勘介の母、嫁、妹が出てくる場面です。
現代の女性も真似したい、賢く誇り高い女たちの言動のすばらしさを、

文楽の床本をじっくり読んでいくカタチで、

「アインシュタインよりディアナ・アグロン」問題や、

舛添都知事の金銭感覚などにも結びつけながら、

今の私たちに起こっていることに引き付けてお話ししました。

http://ginza-rakugaku.com/

初めての試みとして、
「女性の視点で読み直す歌舞伎」の生徒さんたちとご一緒に、
文楽鑑賞教室「曾根崎心中」に行ってまいります。
歌舞伎をもっとよく味わうためにも、
文楽鑑賞はぜひチャレンジしていただきたいところ。
でも、独りでいくのはちょっと…という方は多いですね。
私もかつてはそうでした。
誘ってくれた友人に、本当に感謝しています。
前々から文楽に関心はあったけれど行くのは初めてだったり、
NHKのドラマ「ちかえもん」で初めて文楽に興味を持った、
という方々が中心です。
実際に、人形遣いの方や大夫さん、三味線方に、
道具や人形を持って解説していただけ、
演目のあらすじも紹介していただいた後で拝見する鑑賞教室は、
ビギナーにはとてもわかりやすいと思います。

今回は、講座としてではなく、あくまで「歌舞伎好きのお友達との観劇」。
でも、アフターではお茶をいただきながら、熱く語りたい!と思っています!

学生さんの団体が多く、期間も短いのでチケットがとりにくいですが、
機会があったらぜひ行ってみてください。

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