仲野マリの歌舞伎ビギナーズガイド

一度は観てみたい、でも敷居が高くてちょっと尻込み。 そんなあなたに歌舞伎の魅力をわかりやすくお伝えします。 古いからいい、ではなく現代に通じるものがあるからこそ 歌舞伎は400年を生き続けている。 今の私たち、とくに女性の視点を大切にお話をしていきます。

講座「女性の視点で読み直す歌舞伎」を
東京・東銀座のGINZA楽・学倶楽部で開いています。
歌舞伎座の隣りのビル。
窓から歌舞伎座のワクワクを感じながらのひとときをどうぞ!
これまでの講座内容については、http://www.gamzatti.com/archives/kabukilecture.html
GINZA楽・学倶楽部についてはhttp://ginza-rakugaku.com/をご覧ください。

タグ:平成中村座


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浅草の仮設芝居小屋、平成中村座。
連日大盛況です。
当日券を求めて何時間も前から並ぶ人も多いそうです。

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この小さな芝居小屋の臨場感を
もっとも感じられるのが、夜の部最後の演目
「幡随院長兵衛」

劇中劇のさ中に、花道に居座る客が出て、
劇が中断しちゃうくらいの騒ぎになります。
すると、客席の間を縫って長兵衛参上!
親分っぷりが最高の中村橋之助です。
敵役(坂東彌十郎)も二階に現れるなど、
ここはどこ? 江戸? っていうくらい
お芝居の世界に入り込んでしまうこと請け合い。

実は私、
「幡随院長兵衛」ってどちらかというと苦手な演目で、
ここ数年、敢えて観ないようにしていました。
山の手やくざと下町やくざの抗争みたいな話で、
最後は
山の手やくざの親分(水野十郎左衛門)が、
下町やくざの親分(幡随院長兵衛)を自分の屋敷に招き、
アウェイの敵を亡き者にしようとする。
それをわかっていて長兵衛は一人乗り込むが、
長兵衛が剣術に長けていることを知っている水野は、
わざと着物に酒をこぼして風呂に入れと言って、
丸腰のところを大勢でよってたかって殺します。

そこの場面に来ると、
私は往年の東映のやくざ映画を思い出し、
殺す方もひどいけれど、
殺されるとわかって乗り込む方も乗り込む方で、
結局やくざ同士が血で血を洗うだけよね、と
とってもやりきれなくなるのでした。

でも今回は違いました。
長兵衛とその家族に思いっきり感情移入。

自分はそんなつもりなかったけれど、
街中で次々と若い者同士が衝突してしまう日々に
「いつか自分がすべてを背負うことを覚悟しなくては」と
思っていた長兵衛の心のうち。
周りから一目置かれる存在になった自分が
最後の最後に「怖くて逃げた」なんて思われたら、
自分の配下の者たちがこれから暮らしていけない、と
考えに考えて向かうところ。
どうせ畳の上で死ねるはずないのなら、
一介の町奴にとって、
八千石の旗本とタイマン張って死ねるなら本望だ、と考えるところ。
そんな「親分」としての一面とは対照的に、
死を覚悟して水野邸に赴く前に、
幼い息子に「こんな商売するんじゃないぞ」と言い置くところなど、
子どもや妻への愛情が滲み出るような橋之助の演技が絶品です。
ぐーーーっと心を持っていかれました。

中村橋之助の長兵衛があまりにかっこよかったので、
普段はあまり買わない舞台写真を買ってしまいました。

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4月になりました。
3月のレビューがまだいくつか作成中ですが、
先に今月の歌舞伎公演についてご紹介します。

歌舞伎座では四代目中村鴈治郎襲名公演
1月2月と大阪で行われ、いよいよ東京公演です。
今回の口上は芝居仕立てということで、
どんなふうになるのか楽しみ!
2日からです。
詳しくはこちらをどうぞ。
 
合わせて歌舞伎ギャラリーで「がんじろはん!」展を開催しており、
とても充実しているので、ぜひおでかけください。
ギャラリーだけ見ることのできる施設ですので、お気軽に。
詳しくはこちら

あとは、
なんといっても平成中村座
本日初日を迎えます。
かつて中村座のあった浅草に仮設の芝居小屋を建てての公演。
今回は、浅草寺の裏です。
父・中村勘三郎の思いを受け継いで、
中村勘九郎、七之助兄弟が
勘三郎ととに走ってきた中村橋之助とともに、
浅草の地に新座長を迎えての一歩を刻みます。5月3日まで。

演目や公演時間、配役など詳細はこちらをどうぞ。

もう一つ、
昔ながらの芝居小屋を愛した勘三郎が何度も出演した
金丸座での第31回四国こんぴら歌舞伎大芝居 
今回は中村時蔵、尾上菊之助、尾上松緑、中村梅枝などが出演します。
公演は11日から26日までです。詳しくは、こちらからどうぞ。

 近くの公民館では、30周年を記念して
これまでの公演やお練りの記録展示も。 
こちらから、歴代公演のポスターが見られます。


名古屋では、
中日劇場で四月花形歌舞伎
昼は市川猿之助の「雪之丞七変化」、
夜は片岡愛之助の「新・八犬伝」など、
人気役者の魅力がはじける公演となりそう。
4日から。
詳しくはこちらをどうぞ。

後半になりますと、
京都の南座で「市川海老蔵特別舞踊公演」も始まります。
市川道行改め市川九團次襲名披露の場でもあるので、口上がつきます。
4/17〜4/25。
詳しくはこちら

春爛漫、歌舞伎も百花繚乱で、
どれを見ようか迷いますね。
全部見ようとすると、
それはそれで日程調整がタイヘン。
でも、そんな「タイヘン」 も含め、
芝居見物のウキウキワクワクを楽しんでみてください。

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