1月9日、
「女性の視点で読み直す歌舞伎」第5クール第一回が開催され、
無事に終了。
今月上映のシネマ歌舞伎「日本振袖始~大蛇退治」について、
「神話と世話のリミックス」「スサノオと二人の姫」について語りました。

「日本振袖始~大蛇退治」はヤマタノオロチの退治のお話です。
近松門左衛門は、全五段の長編舞台を書きましたが、
「大蛇退治」は全体からみると、クライマックスのところ。
今回の歌舞伎では、五段目に四段目の一部を入れて
舞踊劇に仕立ててあります。

ここだけを見てもとても素晴らしい、力のある作品。
その素晴らしさを身近に触れていただきたいと、
「大蛇退治」に至るまでの道のりや人間(神?)関係を整理、
舞台では短く表れる科白にこめられた意味を探っていきました。

また、
ヤマタノオロチの話なのになぜ「振袖始」というのか、
そのあたりもお話しすると、
「へえ~!」と皆さん驚いていらっしゃいました。

私個人としては、
一見無力に思える稲田姫(ヤマタノオロチの生贄にされる)を、
近松がとても行動的で芯のある女性に描いているところが
新鮮でした。

女性には運命に流されるようなたおやかさがありながら、
その運命の中で自分のできることを探し、
力強く、自分らしく、生きていくたくましさがあります。

近松が描く女性像は、とっても深い。
ヤマタノオロチと重ねられた岩長姫の憤怒と哀しみもまた、
近松の女性観察のたまもの。
単なる「嫉妬女」ではないところが素晴らしい!

そこを玉三郎が奥底まで考察し、演じきっています。
ヤマタノオロチをいかに演出するか、
ここの美術・殺陣がまた圧巻で、ぜひご覧くださいね!

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