仲野マリの歌舞伎ビギナーズガイド

一度は観てみたい、でも敷居が高くてちょっと尻込み。 そんなあなたに歌舞伎の魅力をわかりやすくお伝えします。 古いからいい、ではなく現代に通じるものがあるからこそ 歌舞伎は400年を生き続けている。 今の私たち、とくに女性の視点を大切にお話をしていきます。

講座「女性の視点で読み直す歌舞伎」を
東京・東銀座のGINZA楽・学倶楽部で開いています。
歌舞伎座の隣りのビル。
窓から歌舞伎座のワクワクを感じながらのひとときをどうぞ!
これまでの講座内容については、http://www.gamzatti.com/archives/kabukilecture.html
GINZA楽・学倶楽部についてはhttp://ginza-rakugaku.com/をご覧ください。

カテゴリ: よもやま

皆さま、明けましておめでとうございます。
昨年後半、このブログをうまく活用できず、
更新も滞ってしまって申し訳ございませんでした。
このブログだけで完結しなくては、という思いが強すぎたのが一因と考え、
他のサイトで書いた歌舞伎レビューのご紹介も含め
今年は週に1度は必ず更新する所存です。
昨年の分もさかのぼってアップします。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

以前からfacebookで
「2020年までに歌舞伎座デビューする!」というページを持っていましたが、
ここで時々英語での発信を始めることとします。
自分の英語がどこまで通じるかわかりませんが、
発信することで、英語力も積み重ねていこうと思います。

https://www.facebook.com/kabukilecturernakano/

皆様、新年のご挨拶が遅れまして失礼しました。
お正月は東西で歌舞伎百花繚乱でしたね。
本来であれば、一つ一つの公演について
それぞれの見どころをお伝えせねばならないところでしたが、
所用に取り紛れてアップできずにおり、大変申し訳ありませんでした。

皆さんは、年の始めに「一年の計」を立てましたか?
そしてそろそろ1カ月、
その「一年の計」を、実行していますか?

私は、たくさん計画を立てました。
体力をつけたいので運動しようとか、部屋を片付けようとか(汗)。
部屋だけじゃなくて、パソコンの中のデータも整理しないといけないし(大汗)。
でも、
気がついたことがあります。
いっぺんに片付くものなんて、この世にない!

だから、私の一年の計は「ひとつひとつ」です。
そして、
いろいろなことを、少しずつですが継続してがんばっています。

そんななか、
なかなか手がつけられなかったのが、このブログの更新。
2014年12月に始めたこのブログ。
「歌舞伎ビギナーズガイド」と銘打って、
歌舞伎観劇の窓口になればと、
とにかくわかりやすい説明に努めてまいりましたが、
まだまだ自分の中では方向性が定まっていなかったように思います。
説明しよう、正確な情報を発信しようと身構えた分だけハードルがあがり、
タイムリーなご報告がこの場でできなかったのが反省点です。

1カ月間、どのように運営していこうか、いろいろ考えてきましたが、
これからは、
短い文章でよいのでもっと頻繁に更新しようと思います。
前より説明不足のものが多くなるかもしれませんが、
わからないことがあったらどんどんコメントしてください!
よろしくお願いいたします。

また、
今年はこれまで以上に歌舞伎ビギナーズ対象の講座を開催してまいります。
ご一緒に歌舞伎観劇も楽しむ機会も多くしたいと思います。
歌舞伎だけでなく、人形浄瑠璃なども、この場でご紹介していく予定です。
各地方に根差した人形浄瑠璃は、本当に魅力的です。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

みなさんの「一年の計」が、実現しますように!








十代目坂東三津五郎さんが亡くなったというニュースが飛び込んできました。
あまりのことに、言葉もありません。
膵臓がんで闘病されていたことはもちろん知っていましたが、
それほど悪くなっていたとはまったく思っておりませんでした。

事実、テレビなどで拝見する限り、
多少お顔の色が優れないくらいで、非常に活発でいらっしゃる。
今年に入ってからのインフルエンザが肺炎を併発させ、
がんが肺に転移していたためそこからが早かったようです。
とはいえ、
おそらく人前では弱音を吐かず、
淡々と過ごされる方だったとご推察します。
そういう美学の持ち主だったのではないでしょうか。

本日の昼に、長男の巳之助さんが会見に応じていました。
巳之助さんも非常にしっかりとした受け答えで、
なんのゆかりもない私などがうろたえていてはいけないと思いつつ、
まだ気持ちの整理ができておりません。

インタビューをさせていただくため、
青山のお宅にうかがったのは、2011年のことでした。
2011年は、御園座で團十郎さんのインタビューもさせていただいています。
あのとき、お元気だったお二人はもういない・・・。
この世の中は、なんてむごく、理不尽なんでしょう。

勘三郎さんが「何で来るんだよ!」って怒ってますよ。
怒りながら、泣きながら、2人で抱き合っているのではないでしょうか。

衝撃からまる一日、
ようやくご冥福を祈るところまで気持ちが落ち着いてきました。
どうぞ安らかに。
これからの歌舞伎界に、天上から力をお貸しください。

(2/24追記)
2/24(火)、テレビ朝日でお昼12時から、「徹子の部屋」で
三津五郎さんの追悼番組を放送するそうです。
お元気だったころの三津五郎さんの回が放送されることと思います。
http://news.ameba.jp/20150223-546/

誰かについて記事を書く場合、
一般的には
「博士」とか「社長」とか肩書きがあると、それを使い、
あとは大体「氏」をつけます。

ただ、俳優やタレント、歌手などは
記事の中でも呼び捨てのことが多いです。

ファンは
「みぽりん」とか「やまぴー」とか「タッキー」とか、
愛称をつけ、「呼び捨て」を避けようとします。
もちろん「ヤザワ」「キヨシロー」「タクロー」など
敢えて呼び捨てにすることで信奉の強さを示すこともありますけどね。

歌舞伎俳優の場合も、
圧倒的に呼び捨てのときが多いですが、
親しみをこめて「さん」づけしたり、
若い人にだと「クン」づけだったり、
ファンは
自分の気持ちを呼び方で表します。

関西の中村鴈治郎さんのことは「がんじろはん」、
今の四代目市川猿之助は
市川亀治郎時代、「亀ちゃん」と呼ばれていました。
市川染五郎さんもすでに40代ですが、
昔からのファンは「染ちゃん」です。
最近では「松也クン」が定着しつつありますね。

でも、
もう少し敬意を払って話題にしたいとき、
あらたまった文章中で「さん」はおかしいが、
だからといって呼び捨てはしたくないとき、
「丈」をよく使います。

「丈」は、歌舞伎俳優に限った敬称ではありませんが、
特に歌舞伎では、
男性かつ女方とか、一般の敬称を使うことを戸惑う場合もあり、
そこがしっくりいくのかもしれません。

相撲の行司(木村庄之助、式守伊之助など)にも
敬称には「丈」をつけるとのことです。

代々引き継がれてきた名前というところが共通点でしょうか。

歌舞伎で襲名するということは、
名前を受け継ぐだけでなく、
その芸風も受け継ぐという意味合いがあります。
名に恥じぬよう、
その名にふさわしく、というふうに、
皆さんとても襲名を大切にしています。

でもファンとしては、
自分が慣れ親しんだ名前に別れを告げることに
一抹の寂しさがあることも事実。
もちろん、
大名跡を襲名することの晴れがましさを
うれしく誇らしく思ってはいるんですけどね。

今の松本幸四郎さんを
いまだに「染五郎さん」と呼んでしまう、という方もおられます。
「勘九郎さん」というと、
亡くなった勘三郎さんのことを思い出す方もいらっしゃいます。
「四代目市川猿之助」を襲名した今でも、
思わず「亀ちゃん」と呼んでしまうファンは多いです。

それは、悪いことではない、と私は思っています。
誰かのファンになったからこそ歌舞伎が好きになった。
自分の情熱の記憶が、そのときの「名前」に結晶している。
セイシュンの勲章です。

この感覚は、
ファンだけではないはず。
猿之助さんも、襲名直前まで
「ずっと亀治郎でいたい」と言っていたくらいですから。

それでも、
襲名は役者としてもう一回り大きくなるチャンスです。
一人の人間の中二つの名前が融合していくさまを見る。
人間の名前と身体を通して歴史の厚みを実感できるのは
歌舞伎を観る上での醍醐味の一つです。

それから…。

一般の人名の場合、最初にフルネームを紹介した後は、
「中村さんは、」「市川さんは」と、姓で呼ぶことが多いですが、
歌舞伎でそれをやってしまうと
中村さんとか市川さんとか坂東さんだらけになってしまって、
ちょっと間が抜けてしまいますね。
だから
「勘九郎さん」「海老蔵さん」「玉三郎さん」というふうに、
名前のほうで呼びます。

でも「さん」ではくだけすぎるな~、という場合、
といって呼び捨てではきつくなるな~、という場合、
そのときこそ、「丈」の出番です!

ちょこっと覚えておくと、便利ですよ。

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