仲野マリの歌舞伎ビギナーズガイド

一度は観てみたい、でも敷居が高くてちょっと尻込み。 そんなあなたに歌舞伎の魅力をわかりやすくお伝えします。 古いからいい、ではなく現代に通じるものがあるからこそ 歌舞伎は400年を生き続けている。 今の私たち、とくに女性の視点を大切にお話をしていきます。

講座「女性の視点で読み直す歌舞伎」を
東京・東銀座のGINZA楽・学倶楽部で開いています。
歌舞伎座の隣りのビル。
窓から歌舞伎座のワクワクを感じながらのひとときをどうぞ!
これまでの講座内容については、http://www.gamzatti.com/archives/kabukilecture.html
GINZA楽・学倶楽部についてはhttp://ginza-rakugaku.com/をご覧ください。

2016年10月

「お正月の歌舞伎」として定着しているのが、
1月に浅草公会堂で開催される新春浅草歌舞伎。
浅草は江戸時代、その一角に芝居小屋が集められた歴史があり
(猿若町の江戸三座=市村座・中村座・守田座)、
歌舞伎と縁の深い土地柄なのです。
新春浅草歌舞伎のもっとも大きな特徴は、
主役を含め出演する俳優を若手でかためているところ。
歌舞伎は長い修練を積んで一人前となる芸能なので、
「大歌舞伎」と銘打った歌舞伎座公演では主役を務める機会が
若手にはほとんどまわってきません。
彼らがふだん「やってみたい」と思う有名作品の大役に挑む場の一つとして、
新春浅草歌舞伎は定着してきました。
サッカーでいうと、
ワールドカップ代表が幹部、オリンピック代表が花形、といったところでしょうか。
次のオリンピックを見据えて
U-19クラスに光る選手を見つけるのと同じワクワク感が、
若手中心の新春浅草歌舞伎にはあります。

 詳しくは→

三遊亭円朝作の落語の中でもよく知られた人情噺。
酒好き遊び好きの魚屋政五郎が、
早朝の芝浜海岸で立派な革財布を拾います。中には大金! 
これで当分遊んで暮らせると狂喜乱舞した政五郎は、
すぐに家に帰ると酒や肴を注文しまくり、仲間を集めて昼間から大宴会。
ところが、一晩寝て目覚めると、
女房に預けたはずの財布がない!
「知りませんよ、夢でも見たんじゃないですか?」
―それから3年。
酒を断ち、生まれ変わったように働いて
店まで構えるようになった政五郎に、
おたつはあの革財布をおずおずと差し出します。
「宵越しの金は持たない」江戸っ子の、
豪快だが女房に弱いしがない棒手振り・政五郎を
香川照之こと市川中車が好演。
中車が歌舞伎の世界に足を踏み入れて4年、
江戸庶民の生活を描いた「世話物」には
欠かせない役者となっています。
詳しくは→ 

「鳴神」はマジメで純粋培養型の高僧・鳴神上人のもとに、
女スパイが送り込まれるお話です。
彼女のミッションは上人を色香で惑わせ、
上人が封じ込めた龍神を解き放って雨を降らせ、日照りを終わらせること。
俗にいう「ハニートラップ」ですね。
絶世の美女・雲の絶間姫は、
裾をからげて白い足を見せたり艶っぽい話をしたりするので、
免疫のない上人は気もそぞろ。
すかさず女スパイは苦しがり
「胸をさすって」と上人の手をとって襟元から奥へとすべらせるのでした。
人を疑うことを知らない鳴神上人は本気で彼女を心配し、
「ここか? ここか?」と胸をさするうち、
「自分の胸にはないふくらみ」を感じてハッと飛びのきます。
果たして上人は、
二つの「ふくらみ」を忘れ煩悩を振り切ることができるのか? 
はたまた女スパイのハニートラップが成功するのでしょうか?
詳しくは→ 

↑このページのトップヘ