今月は、名古屋公演があります。
名古屋は御園座が閉まってしまいましたが、
日本特殊陶業市民会館がその穴を埋めてくれて定期的に公演が続いています。

今回は「錦秋顔見世」と題し、
中村吉右衛門率いる播磨屋を中心とした座組みによる本格的な公演。

昼の部
「あんまと泥棒(あんまとどろぼう)」
「藤娘(ふじむすめ」」
「秀山十種の内 松浦の太鼓(まつうらのたいこ)」

夜の部
「平家女護島」の「俊寛(しゅんかん)」
「太刀盗人(たちぬすびと)」
「浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなづま)」から「山三浪宅」「鞘当」

「松浦の太鼓」「俊寛」は、吉右衛門丈の当たり役です。
名古屋方面の方、ぜひご覧ください。

「あんまと泥棒」は、中村歌六があんま秀の市、泥棒権太楼は中村錦之助です。
最近さらに芸に磨きがかかり、どの舞台にも欠かせない人となった歌六が
見どころと意気込みをこちらで語っています。
「藤娘」は、来年、五代目中村雀右衛門襲名が決まっている中村芝雀が可愛らしく。

「太刀盗人」は狂言をアレンジしたもので、コミカルさと舞踊の確かさが決め手。
舞踊に長けた中村又五郎、中村種之助の二人に注目です。
「浮世柄比翼稲妻」は、なんといっても「鞘当(さやあて)」でしょう。
すれ違いざまに刀の鞘が当たった、そのことでケンカになる・・・だけのことなんですが、
それがいかに緊張感のある、そして豪華絢爛な、俳優二人を引き立てる場面になっているか。
これぞ歌舞伎、という演目を錦之助の名古屋山三(さんざ)、又五郎の不破伴左衛門で。
今回は「山三浪宅」がついて、この場面に至る状況や緊張感がよくわかります。

こうやって解説を書いていても、名古屋に飛んでいきたくなるなー。
ぜひぜひ。