私は第一部の「おちくぼ物語」がいたく気に入りました。
ひと口で説明すると「和製シンデレラ」になってしまいますが、
単なる「継子いじめ」のお話にとどまりません。

何かと言うと「おゆるしなされてくださいませ」と謝ることしかしない継子・おちくぼ。
常に「お前のしたいようにすればよい」といいながら、
死んだ前妻・おちくぼの母との思い出を何かと言えば口にしてはばからない夫。
後妻の苛立ちが募るのもある面ではもっともと思わせます。

また、おちくぼにとって白馬の王子である左近の少将も、
「お前だけだ」というけれど、あちこちに女を囲っています。
そういう少将にチクリと嫌味をいうことも忘れないおちくぼ。現実的です。

ちょっと無理があるなー、と思う部分も多々ありますが、楽しめました!

第三部の「祇園恋づくし」は、
京の人々と江戸の人々のカルチャーギャップをわかりやすくネタにしてあります。
これは、東京で見るのと江戸で見るのとでお客さんの反応が違ってくるかもしれませんね。
何といっても中村七之助のコメディエンヌぶりが達者なのと、
中村扇雀が立役・女方の二役を見事に演じ分けていたのが印象的でした。