今月の歌舞伎座、昼の部の出色は
猿之助の「蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)」です。
禿姿で出てきたその瞬間、劇場全体がパッと明るく華やぎます。
 これぞ、THE 歌舞伎!
文句なしに観客をハッピーにできる力を、彼は持っています。
切れのよい身のこなしで、
一つひとつの踊りで魅せながら、
スピーディーに次々と役を変えていく。

童熨斗丸→薬売り彦作→番頭新造八重里→座頭亀市
→傾城薄雲実は女郎蜘蛛の精

見事というほかありません。

猿之助は演じながらも時々役を離れて役者に戻り、
「どうだ!」といわんばかりの笑みを振り撒くことがあるのですが、
今回ばかりは「恐れ入りました」と許してしまいそう。
そのくらい、いい気持ちにさせてもらいました。
本物の芸の力とは、そういうものなのかもしれません。

お囃子、唄もノリノリで、華やかに打ち出しました。