1月24日、新装歌舞伎座は初めてとおっしゃるビギナーをお連れして、
歌舞伎座に観劇にまいりました。
昼と夜とどちらのチケットを取るか、考えに考えて、
玉三郎が夕霧太夫を務める「吉田屋~廓文章」の華やかさと、
「直侍」が物語としてわかりやすいかと思い、夜を選択しました。

玉三郎の打掛はほんとに美しくて、3階から見てもため息が出るほど。
わざわざ背中を見せて立って全体を絵のように見せてくれるポーズも
いつもながらハイライトシーンです。

また、
市川染五郎の「直侍」は、文句なしにかっこよかった!
追手がかかる身であり、全身を耳にして周囲に気を配る緊張感、
そんな身の上でありながら、想い人のところへ急ぐ男の恋心。
染五郎、いい役者になったなあ、とつくづく思いました。

思いのほか、といっては失礼ですが、非常に感動したのが
「二条城の清正」でした。
徳川家康に呼び出され、淀城から二条城へと向かう秀頼(松本金太郎)に
何かあってはならない、必ず無事に淀城まで守る、と
老忠臣の加藤清正(松本幸四郎)がつき従います。

妻・千姫の父親、つまり、舅と婿の関係だからこちらから来たが、
本来なら秀頼さまのほうが上である、そこを間違えるな、と
家康の家臣を気迫でけん制し続ける清正と
孫の金太郎を支える祖父としての幸四郎とが二重写しとなって、
ますます感動的でした。

金太郎の幼な顔に役者魂!がこもるようになり、堂々たる出来栄え。
威厳もあるが自らの立場の危うさにも気づいている秀頼の
聡明さと品格とぜい弱さをたたえ、
船のへさきに立って淀城をまっすぐに見る背中に悲運が漂いました。