2015年9月の歌舞伎座は、ほかに
「双蝶々曲輪日記~新清水浮無瀬の場」と
「紅葉狩」

「紅葉狩」は、
更科姫の市川染五郎があまりに美しいので心奪われました。
染五郎の女方には、これまでそれほどピンと来ていなかったので、
こんなにきれいなお姫様になるとは!
それだけでシアワセな感じがしました。
ただ初役ということもあってか、後半は舞踊にほころびがいくつか。
まだお役が完全に手の内に入っていない様子でした。
まだ公演前半なので、後半にかけて成長することでしょう。

山神は松本金太郎。父子共演です。
しっかりと腰を入れて、堂々の山神です。

この「紅葉狩」でしみじみ思ったのが、
歌舞伎というパフォーマンスの懐の深さです。
音楽の重層。
下手に常盤津節、中央に清元節、上手に義太夫節。
場面場面に応じて歌い分け、奏で分け、
そして鬼女が出現してからは三方の大合奏、大合唱です。
こういう言い方が正しいかはわからないけれど、
ロックとフォークと演歌が特徴を出しつつ、でも消しあわず、
一つの世界を全体として構成しているということですよね。
これまでもこういう場面には出くわしていたと思いますが、
場面と歌とのシンクロが素晴らしかったせいか、非常に強く感じました。

「双蝶々曲輪日記~新清水浮無瀬の場」
発端となるところです。
あまり深く考えず、お茶屋遊びや廓の風情を楽しむ一幕。
廓の女が間夫と客とどう付き合い分けているのかを見たり、
廓の女に入れ揚げて、バカな男たちだなー、と思ったり、
そんなことで人を殺しちゃうんだ、とびっくりしたり、
女は愛する人を逃がすためなら何でもやるんだなー、と感心したり、
同じようなモチーフをさまざまな男と女の間で繰り返す遊びの部分があったり、
とにかく、粋な一幕として肩を張らずに楽しんでください。

詳細はこちらをごらんください。