1月15日、新春浅草歌舞伎の昼の部、夜の部を
通しで観てきました。

演目は以下の通り。
第1部
・春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)
・一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
・独楽売(こまうり)

第2部
・仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
 五段目・山崎街道鉄砲渡しの場、同・二つ玉の場
 六段目・与市兵衛内勘平腹切の場
・猩々(しょうじょう)/俄獅子(にわかじし)

今回、出色の出来は、
第2部の「猩々」を踊った中村種之助です!
「猩々」というのは、お酒を飲んで酔っ払った神様が舞う、というものです。
愛嬌があって、でも品格を失わない。
端正で清々しさが勝ち、しかし緩急とリズムでお囃子に乗り、人を酔わせます。
幕が閉まってから花道を退場するまでのひと舞いを、
堂々とたっぷり見せ、
舞の名手として名高かった故・中村富十郎の「寿猩々」をほうふつとさせました。
(「寿猩々」についてはこちらをご覧ください)

中村種之助は父が中村又五郎、兄が中村歌昇です。
又五郎は子どものとき、中村光輝と名乗ってテレビなどでも活躍した名子役でした。
種之助は歌昇より、お父さんの面影を強く持っています。
立役(男性の役)一本の兄に比べ、
種之助は女方も立役もこなす分、器用ながらあまり印象が強くない役者でした。
しかし、
今回の「猩々」で一躍スターダムですね!
舞を舞わせたら種之助、と誰もが思ったことでしょう。
次の舞台が楽しみです。

(付け加えれば、巳之助はすでに「若手」の域を越えて舞を評価されつつあります。
 「獅子舞」のような、顔の見えない舞踊でも、「うまいと思ったら巳之助だった」と
 近頃は歌舞伎通をもうならせています)